2007年9月分



第7期



その日自宅のテーブルの上に置かれていたのは懐かしい短冊、と呼ばれる
願いを叶える為の用紙。それを懐かしく思いつつ、どうせだから何かを書こうと思い至る。
「願い事かあ・・・・・・」
(恭弥さんと結婚したいなぁ・・・・・・なんて)
かぁっ、と頬が熱くなるのが自分でもわかる。自分で想像しておいてなんだが、恥ずかしいことこの上ない。
けれど身体は正直で、自然とそう書き出そうとした途端、まてよ、と動きが止まった。
(―――あの恭弥さんだぞ?)
群れるの嫌い、束縛嫌い、人の言う事を聞くのも大嫌い。
神様からの強制力なんて働こうものなら、逆に嬉々として逆らいそうな天邪鬼。
そこにこんな願いをしようものなら、叶うどころか逆効果な気がひしひしする。
「・・・・・・」
もう一度短冊を見直す。幼馴染を思い浮かべる。

(・・・・・・やめよう。うん)

そもそもが無謀で無茶で身の程をわきまえない、分不相応すぎる願いではあるが。
それでもちょっと七夕に願うくらいは自由なはずなのに。
(それさえも許してくれないなんて・・・・・・)
つくづく乙女の夢を粉々にぶち壊してまわる人である。
・・・・・・いや、わかってたけどさあ。

仕方がないので『平穏な日々がやってきますように』と書かれた願いが叶ったかどうかは、
もちろん、言わずもがな。



無自覚シリーズ幕間。
原作の話を京子ちゃんを雲雀さんに変換してみました。できませんでした。
・・・・・・。



夏祭り。せっかく京子ちゃん達とも楽しくすごしていたというのに
(途中売店することになったのはまあそれはそれ)
ちょっと油断した途端売り上げをひったくられた上、あからさまに
よろしくない連中にからまれてしまった。
こんな時に限って山本も獄寺君もいないしリボーンは行方不明だし
(だからと言っていたとしても死ぬ気弾撃たれるのは嫌なんだけど)
もうとにかく誰でもいいから助けて―――いやできれば・・・・・・

(恭弥さん・・・・・・!!)

心の中で絶賛片思い中の想い人を思い浮かべて助けを求めると、
ドサッ、と何かが倒れる音。
「ひったくりの現行犯を大量捕獲・・・・・・嬉しくて身震いするよ」
楽しそうな声色に、そちらに目を向けてみれば、そこにいたのは
紅い液体が付着させながら、銀色に鈍く光るトンファーを構えた美貌の少年。
間違いない。


「ヒバリさん!」


(まさか本当に助けにきてくれ―――)
「うん、さすがだね。狙われるだろうと思って待ってたらドンピシャだ」
・・・・・・たらしいけどなんか微妙っぽい。
弾んだ心が一瞬にしてしぼんでいくのがわかる。
感動の瞬間をだいなしにした、感心されているはずなのに何故かそうとは思えない
台詞に愕然とする。え、ちょっとまって。

「オレってひょっとしてエサーーーー?!」

どうやらタイミングが良いのは偶然ではなく必然らしかった。
つまり恭弥さんは、助けるために駆けつけた訳ではなく、
そもそもオレがこいつらにからまれるの待ってたってことだ。

「だって君、本当に見事なくらいいつもからまれてるし。
事実こうしておびきだしてるじゃない。うん、才能あるよ」
「何のーーーーー?!」

ひどい。一応助けてくれる気はあるらしいけど!!
それは嬉しいんだけど!!(見捨てられないだけでもこの人からしたら譲歩だ)
だけどやっぱりわざわざこんな危険な連中相手にエサにするなんて酷い。
仮にも好きな相手に!!
恭弥さんの馬鹿、鈍感!
色んな意味で胸がずきずき痛む。

・・・・・・泣いちゃ駄目だろうか。




「いいよ、今日は見逃してあげる。エサ代ね」
「うっわー喜んでいいのか滅茶苦茶微妙ですねー・・・・・・」
なんとか大量のひったくり共を片付けて、やつらが盗んだお金をまるごと奪おうとする
恭弥さんから自分達の金庫を守ろうとしてみれば、そんな返事が返ってきた。
本気でかなり微妙だ。
「ヒバリテメー10代目に向かってなんつー失礼な口をーーー!!!!」
「まあまあ落ち着けって獄寺」
いつものように暴れている獄寺君を山本が羽交い絞めにして止めている。
うん、懸命な判断だ。せっかく恭弥さんが見逃してくれるっていうんだから(理由は微妙だけど)
争いを避けるにこしたことはない。痛いのやだし。でもなぁ・・・・・・。
「できればエサはもう遠慮したいかなーなんて・・・・・・」
駄目元で言ってみたものの、多分ていうかまずムリだろうな、と思っていたのだが。
「もうしないよ」
あっさりと恭弥さんはそう言うものだから、思わず目を見開いた。
「え?」
「じゃあね」
そのまま去って行く彼には説明する気はさらさらないらしい。
あれだけの人数と戦ったというのに疲れた様子もなく、軽い足取りで行方をくらませた。
さっぱり訳がわからなかった。



ちなみにその日一番の重傷者が、オレの胸倉つかみ上げていた男だったなんて、
オレにはまったく思いもよらないことだったのである。




無自覚シリーズ。
ヒバツナには避けて通れないヒバツナ宝庫のヒバツナ話である夏祭り編。
思った以上におもしろくなかった雲雀さんの話。
とりあえずツナ掴み挙げてた本人は真っ先に咬み殺してみました。
これはそのうちきちんと書き直して本編の方にup・・・・・・できればいいなぁ。(ええー







パイナポーの受難シリーズ(え
例の恭さんネタです。ネタバレかもしれないので注意。


「オレさあ、今まで最大の敵ってお前かリボーンだと思ってたんだよね」
「・・・・・・そうですか」
何の、などと愚かなことは聞かない。
この子どもの言う事など、8割がた万年新婚状態の恋人のことに決まっている。
それにしても、『今までは』ということは今は認識を改めたのか。素晴らしいかぎりだ。
「今度は一体誰が言いがかりも甚だしい哀れな被害者に選ばれたんです?」
それは聞いておきたい。他人の不幸は蜜の味という。
「なんだよ被害者って」
「僕は経験者ですので」
「きもっ!お前のどこが哀れ?!」
「それこそ雲雀くんと君に関係する全てが」
きっぱりと言い切る。これだけははっきりさせておかなければ。

どこが哀れだと?こちらこそ言いたい。

痴話喧嘩に毎回命がけで巻き込まれるあほらしさの、どこが哀れでないというのか。

「失礼だな。まあいいよそんなことは!ちょっと聞けよ!」
「はいはい、聞いてあげますからさっさと帰ってくださいね」
棒読み。台詞とは裏腹に聞き流す気満々である。



「恭弥さんが浮気したっ!!!」



「・・・・・・は?」
「だから恭弥さんが浮気なんだって!」
「・・・・・・夢の中でですか?」
「んな訳ないだろ!ちゃんと現実!」

ありえない。ありえなすぎて笑う気にもならない。

あの基本人間嫌いが浮気?
生きていく上での必要最低限の人との関わりさえも拒絶しているようなあの男が浮気!
「10割10分10厘誤解ですからさっさと帰りなさい」
「ちっがーう!絶対浮気!浮気ったら浮気!だって・・・・・・!」


「恭さんて何だーーー!!!!」



「・・・・・・なんですかそれ」
「オレの最大のライバル草壁さんの恭弥さんの呼び方」
「それはまた」
なんという偉大人物。そういえば雲雀は一人だけいつも共に行動している
変わった髪形の男がいた気がするが、あれか。
「おまけに『哲』だよ『哲』!!オレだって『綱吉』なのに何その愛称呼び!!」
浮気だよねこれ浮気だよねぇーーー?!
「オレ骸ごときに嫉妬している場合じゃなかったんだ。このままだと恭弥さんが草壁さんにとられちゃう!」

いやいやそれはないだろう。

どう考えても雲雀があの側近といわゆるそういう関係になるところは想像できない。
それにしても『ごとき』とは聞き捨てならない。
除外云々は喜んでうけるがそれは納得がいかない。
「だって恭弥さんオレが草壁さんとこにかけこんでも全然気にしないんだぞ
いつもならとりあえず相手を半殺しにするくせにそのうちなだめられて
帰ってくるだろうってほっとかれたんだぞオレ!いや結局気づいたら
なだめられていつのまにか帰ってたんだけどねオレ!!」
「アホですね貴方」
「うわーん恭弥さんどんだけ草壁さん好きなんだよ!!」
負けている、あらゆる意味で負けている。
仲がいいと思っていたリボーンなんてはっきり言ってめじゃない。
本気だ。本気で恭弥さんと仲のいい人間。
最大の敵がそこにいた。
しかも何気なく。
「あまりに自然だから気づかなかったんだよな・・・・・・!
というわけで目下オレの敵は草壁さんとヒバードなんだよ!!」
「貴方はいい加減不毛な嫉妬をやめようと思いましょうね」




というか、片方は人でさえないし。




伝説(え)の恭さん&哲ネタ。
なんか似たような話かいている人多そうで内心びくびくです(爆)
お姉さんはびっくりしたよ・・・・・・!




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